2025年08月18日
「絵絹」は、平織りの絹織物であり、中でも精練加工を施さない生織物に分類されます。主に、日本画の基底材に用いられ、国内において岐阜県各務原市の生産量がほぼ100%を占めています。しかし、使用方法が限られていることと、生活の洋風化に伴い掛け軸等の需要が落ち込んだため、現在は、製織業者も僅かとなっている状況です。
そうした中、令和2年度より「アートで動かす・アートでつながる」ことをコンセプトに、「ART×産業」というテーマで「絵絹」に焦点を当て、製造している地域と関わる人々と共に、「絵絹」の周知と新たな価値を創出するための社会的なシステムの構築を産官民で連携し進めています。
今回、「絵絹」の歴史や製織技術の調査・研究を行い、未来に継承する文化資源としての価値を明確化するために、絵絹製織技法等についての報告書・ならびにアーカイブを作成。同時に、新たな表現や目的のための織り方研究などマテリアルの可能性を提案していきたいとの事業主旨となります。
そうした調査・研究を通して、地域内外に向けた「絵絹」の周知・発信や貴重な文化資源として未来へつなげるための伝承・普及の在り方にも注力しておられます。例えば、各務原市が「絵絹」の一大生産地であることを広く知らしめるため、「マテリアル×アート」として絵絹作品を紹介する「@えぎぬ展」を開催したり、各務原市のシティプロモーションサイトにて、作家と生産者をインタビュー形式でまとめた発信もしております。(https://ourfavorite-kakamigahara.jp/feature/8929/)また、地域のみなさまに身近に感じていただけますように各務原市役所内に展示スペースを設け、わかりやすく絵絹に描くプロセスをご紹介しております。
以上から、今回「絵絹」の価値を明確化し、失われゆく伝統技術の保存と文化資源の継承、未来に向けた新しい可能性を見出すこの事業を当財団としましても応援してまいりたいと考えます。
「@えぎぬ展」チラシ
各務原市役所内にある展示スペース