2021年01月25日
ポーラ伝統文化振興財団では設立以来、わが国の貴重な伝統文化に貢献され、今後も
活躍が期待できる個人または団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを
目的として、顕彰を行ってまいりました。 本年で40回を迎えた「伝統文化ポーラ賞」。
この度、弊財団40年の軌跡と共に、過去ポーラ賞受賞された方々を随時ご紹介致します。
第33回 伝統文化ポーラ賞 優秀賞 岡田裕「萩焼の制作・伝承」 佐藤典克(陶芸家) |
岡田裕氏は、慶応義塾大学法学部を卒業後、一旦水産会社に入社したが、萩焼の魅力に引き込まれ1972年退社し、父であった萩焼の名門晴雲山岡田窯七代岡田仙舟に師事し、作陶に入りました。たゆまぬ研鑽によって体得した萩焼の伝統技法を守りながらも、自身の感性を生かし、現代感覚のあふれる個性的な作風を確立。シルクロードを度々視察旅行した際に得たインスピレーションをもとに生み出された、技法表現「炎彩(えんさい)」において、萩焼の固有素材の美質を活かした内面描写的な制作に励んできました。 |
炎彩陶筥 |
「炎彩」とは大道土(だいどうつち)や見島土(みしまつち)といった萩の伝統的な素地土(きじつち)の泥漿(でいしょう)※と、白釉(はくゆう)などの釉薬をエアブラシを用いて施す装飾技法です。粗密度ある肌模様が全面的に展開され、窯中に激しく揺らめく炎を感じさせます。 ※泥漿:粘土と水を混ぜ合わせ泥のような液体状にしたもの |
昭和48年山口県美術展入選を皮切りに、昭和54年日本陶芸展、日本伝統工芸展と入選を重ね、昭和60年日本工芸会正会員となり、平成18年に山口県指定無形文化財萩焼保持者に認定、平成25年には伝統文化ポーラ賞 優秀賞、平成29年には旭日双光章を受章しました。 |
彩泥花器「蜃気楼」 |
また、長年日本工芸会山口支部幹事長等の役職を勤め、萩女子短期大学の陶芸科で教鞭をとると共に、萩市や山口県内の文化催事でのワークショップや講演を行い、後進の指導等幅広い普及活動を行っています。 萩の伝統に根ざしながら、現代に通ずる新しい作品を作り続ける、岡田氏の今後の創作活動に、さらに大きな期待が寄せられています。 |
◇写真ご提供:日本工芸会 |