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お知らせ

2020年12月10日



ポーラ伝統文化振興財団では設立以来、わが国の貴重な伝統文化に貢献され、今後も
活躍が期待できる個人または団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを
目的として、顕彰を行ってまいりました。 本年で40回を迎えた「伝統文化ポーラ賞」。
この度、弊財団40年の軌跡と共に、過去ポーラ賞受賞された方々を随時ご紹介致します。

 

第2回 伝統文化ポーラ賞 特賞

 山村精と原始布・古代織保存会

「太布織物」

大友真希(染織文化研究家)

 

木綿布が庶民に普及する以前、人々は山野に自生する草木の皮・茎・蔓などから繊維を取り出して糸をつくり、布を織っていました。これらの織物の総称を「太布(たふ)」(*注1)といいますが、現在は「原始布」「自然布」などと呼ばれることが多く、シナ布・芭蕉布・苧麻布・藤布・葛布・アットゥシなどがそれにあたります。

Resized 太布織物

太布織物

 大正12年山形県米沢市に生まれた山村精(まさし)さんは、米沢で織物商に携わるなか、昭和40年頃から日本の原始布・古代織の復元と生産の存続に取り組み始めました。戦後、合成繊維の普及と機械化の加速によって、手技による布づくりとその歴史が途絶えていくことに危機感をもったのが始まりです。山村さんは、山形県、新潟県、福島県などの山間集落を訪ね歩き、古くから織られていたシナ布・藤布・楮布などの原始布について話を聞いて回ります。そこで目にした女性たちがもつ技術の高さに感動し、布そのものの美しさにも魅了され、原始布の探究が生涯続くこととなりました。

Resized 織り

地機(じばた)による織布

 多くの山村では、林業や炭焼きなどの生業が成り立たたなくなり、成人男性は出稼ぎで家を不在にした時代です。山村さんは集落の女性たちと共に保存会を立ち上げ、技術指導や研究会を行いながら地域での生産を後押ししていきました。長年途絶えていた紙布・ぜんまい織・藤布などの復元にも力を注ぎ、失われかけていた様々な原始布が、次々と息を吹き返したのです。

Resized 箱階段と原料

原始布・古代織参考館内展示
(山村精氏が初代館長)

 女性たちにとって、布づくりの仕事は家庭を支える大事な収入源となりました。来る日も来る日も必死に糸づくりと機織りに励んだといいます。新潟県村上市山熊田の集落では、「山村さんの仕事のおかげで子供たちを大学に行かせることができた」と、40年以上が経過した今も、当時を思い出して語る女性が少なくありません(*注2)。

 

*注1:現代では、徳島県那賀町木頭で生産されている楮布を指して「太布」と呼ぶ場合が多い。

*注2:新潟県山村上市山熊田地区では、当時、シナ布・ぜんまい織・紙布・麻布などを織っていた。現在もシナ布の生産が続いている。


◇写真提供:原始布・古代織参考館
                 Tel:0238-22-8141
                 E-mail:gensifu@guitar.ocn.ne.jp

 

 

 



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