2020年11月10日
ポーラ伝統文化振興財団では設立以来、わが国の貴重な伝統文化に貢献され、今後も
活躍が期待できる個人または団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを
目的として、顕彰を行ってまいりました。 本年で40回を迎える「伝統文化ポーラ賞」。
この度、弊財団40年の軌跡と共に、過去ポーラ賞を受賞された方々を随時ご紹介致します。
第29回 伝統文化ポーラ賞 優秀賞 加藤 孝造 「瀬戸黒・志野・黄瀬戸の制作・伝承」 佐藤典克(陶芸作家) |
加藤孝造氏の陶芸への道は、昭和28年 岐阜県陶磁器試験場で、幸兵衛窯(こうべえがま)の礎を築いた五代目 加藤幸兵衛氏に陶芸の指導を受けたところから始まりました。その才能は多才で、翌年の第10回日展(日本美術展覧会)に洋画部門で初入選、この年の全国最年少入選となったほどです。 |
「瀬戸黒茶ワン」(せとくろちゃわん)
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その後、昭和45年にまた大きな出会いが訪れます。その人こそ、志野をはじめ、黄瀬戸、瀬戸黒など桃山時代に開花した焼き物の美に魅せられ、その再現に取り組んだ重要無形文化財保持者、故荒川 豊蔵氏です。荒川氏は加藤氏の人生観を揺さ振り、陶芸のみならず人生の師と仰ぐほどの人物でした。 翌年、可児市久々利に穴窯と登窯を築き、以後手回し轆轤(ろくろ)や薪による焼成等の桃山陶芸技法による制作を自身のライフワークとしていきます。その作品は桃山の志野・瀬戸黒を原点に、その伝統を継承しながらも新しさを追究したもので、手になじみ易く落ち着いており、加藤氏の風貌を彷彿とさせます。 |
「黄瀬戸水指」(きせとみずさし)
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平成7年、岐阜県重要無形文化財「志野・瀬戸黒」の保持者に認定。平成21年に伝統文化ポーラ賞 優秀賞を受賞、翌平成平成22年には「瀬戸黒」の国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。 それまでの「瀬戸黒」保持者であった荒川豊蔵氏が1985(昭和60)年に死去し、重要無形文化財指定が解除されていたこともあり、加藤氏で「瀬戸黒」2人目の人間国宝となります。 |
「掛け流し瀬戸黒茶盌」(かけながしせとくろちゃわん) |
加藤氏は若手陶芸家を集い「風塾」を創設、塾生には美濃陶芸を代表する作家たちが名を連ね、後継者の育成にも尽力しています。その功績と貢献は多大で、84歳の現在も現役陶芸家として精力的に活躍しています。 |
◇画像提供:公益財団法人 日本工芸会 |