2020年09月10日
ポーラ伝統文化振興財団では設立以来、わが国の貴重な伝統文化に貢献され、今後も
活躍が期待できる個人または団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを
目的として、顕彰を行ってまいりました。 本年で40回を迎える「伝統文化ポーラ賞」。
この度、弊財団40年の軌跡と共に、過去ポーラ賞を受賞された方々を随時ご紹介致します。
第32回 伝統文化ポーラ賞 奨励賞 鈴木 徹「緑釉陶器の制作・継承」 佐藤典克(陶芸作家) |
鈴木 徹氏は昭和39年多治見市に生まれ、昭和62年龍谷大学文学部史学科卒業、翌年京都府陶工職業訓練校成形科を卒業した後、志野や織部など桃山時代に焼造された焼き物の伝統と歴史が残る岐阜県多治見市で作陶活動を展開しています。 |
緑釉花器 |
美濃焼の「織部」といえば誰もが耳にしたことがありますが、彼の作品に使われる緑色の釉薬を施した焼き物は、他と一線を隔しており、それは作者の意思、「織部という範疇では語ることができないような作品をつくりたい、美濃という地域を超えた仕事をしたい」と語る彼の想いにほかなりません。
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「萌生」 |
父親が「志野」の重要無形文化財保持者、鈴木藏である彼は、父とどれだけ違うことがやれるかが大切だ、との思いから「緑釉」の追求を選んだといいます。工房の周りにはさまざまな樹木や草花、苔があり、その自然が表現の源泉であると徹氏は自身の事を振り返ります。作品は、泥刷毛目や櫛目、さらには胎(*注)の途中に稜線を入れ、釉薬の濃淡、色合いの違う緑釉を模様の強弱に応じて意識的に使い分け、深みが増すように計算されており、近年は荒々しさよりも造形と釉薬の繊細さが際立ちをみせ、新たな作域へと進化を続けてきています。
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「萌生」 |
平成3年の日本伝統工芸展入選以来入選を重ね、平成24年に伝統文化ポーラ賞を、平成27年には、第62回日本伝統工芸展「NHK会長賞」受賞し、さらに日本陶磁協会賞をも受賞されました。 |
◇2020年9月23日より、「萌生Ⅱ」ー鈴木 徹 作陶展ーが日本橋三越本店本館6階 美術特選画廊にて開催されます。 詳細は下記URLをご覧ください。 |