2020年08月11日
ポーラ伝統文化振興財団では設立以来、わが国の貴重な伝統文化に貢献され、今後も
活躍が期待できる個人または団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを
目的として、顕彰を行ってまいりました。 本年で40回を迎える「伝統文化ポーラ賞」。
この度、弊財団40年の軌跡と共に、過去ポーラ賞受賞された方々を随時ご紹介致します。
第2回 伝統文化ポーラ賞 特賞 五十嵐善蔵「からむし栽培」 大友真希(染織研究家) |
夏は緑に、冬は雪に覆われる自然豊かな山里・福島県奥会津の昭和村では、新潟県で織られている「越後上布・小千谷縮」の原材料となる「からむし」が生産されています。 からむしは、イラクサ科である苧麻(ちょま)の一種で、からむしの繊維でつくる布は、吸水性がよく乾きやすいため、夏の着物に広く使われてきました。 |
”からむし焼き” [焼畑] |
からむしの栽培は春から夏にかけて行われます。 |
刈り取り |
7月下旬から8月のお盆前にかけて、2メートルほどに成長したからむしを一本一本鎌で刈り取ります。刈り取ったからむしは、その日のうちに水に浸し一本ずつ皮を剥ぎます。剥ぎ取った皮をからむし引き(*注)し、取り出した繊維は2・3日乾燥させた後、100匁に結束され新潟の糸づくりの工程へと進みます。 注:専用の道具を使い、からむしの表皮を削いで繊維を取り出す作業 |
”からむし引き” [苧引き(おびき)ともいう] |
昭和村では、地域を支える大事な作物としてからむしの栽培が代々続いてきました。五十嵐善蔵さんも村に伝わるからむし栽培の智慧を繋いできた一人です。からむしの繊維には、「キラ」とよばれる青色を帯びた独特の光沢があります。質の良いからむしだからこそ生まれる「きらめき」。昭和村の自然の豊かさと、人々が培ってきた技が織り成す、からむし独自の風合いです。 |
からむしの繊維 |
""からむしの織物" |
福島県昭和村HP |