2020年06月10日
ポーラ伝統文化振興財団では設立以来、わが国の貴重な伝統文化に貢献され、今後も
活躍が期待できる個人または団体に対し、更なる活躍と業績の向上を奨励することを
目的として、顕彰を行ってまいりました。 本年で40回を迎える「伝統文化ポーラ賞」。
この度、弊財団40年の軌跡と共に、過去ポーラ賞受賞された方々を随時ご紹介致します。
第30回 伝統文化ポーラ賞 地域賞
五所川原立佞武多委員会「五所川原の立佞武多の保存・振興」
川﨑瑞穂(博士・神戸大学特別研究員)
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「ねぶた」?いいえ。「ねぷた」です。
ここ青森県五所川原にて400年以上の長きにわたり伝承されてきた「五所川原の立佞武多」。「たちねぶた」と間違えて発音されることがありますが、正確には「たちねぷた」。青森県には「ねぶた」と「ねぷた」の両方が混在しています。この違いは一体何から来るものでしょうか。 各地域がもつ独特な掛け声の違いで分類されることもあれば、「立体的なものがねぶた/平面的なものがねぷた」と言われることもありますが、一つ確かなことは、青森市や下北地方では「ねぶた」と呼ぶことが多く、津軽地方では「ねぷた」と呼ぶことが多いということです。「弘前ねぷた」などはその好例で、扇形のねぷたが街を彩ります。
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闇夜を進む立佞武多
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ねぶたとねぷた。どちらも眠気をさそう妖怪を流す民俗行事「ねむりながし」に由来するという説が知られておりますが、財団の記録映画『ねぶた祭り―津軽びとの夏―』(1993年制作/34分)では、県内外のねぶた/ねぷたとその歴史が詳しく紹介されています。 毎年8月上旬(注1)に行われる五所川原の立佞武多祭り。闇を切って曳行される「佞武多」は夏の夜空に燦々と輝きます。熱き血潮を崇高さへと昇華するその光に、「父」のごとき厳しさと「母」のごとき優しさがこもる、そんな見ごたえのある祭りです。
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「鹿嶋大明神と地震鯰」(左)と「又鬼」(右) |
大型立佞武多 「纏」
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五所川原の立佞武多の起源は分かっていませんが、記録としての残るのは明治40年頃といわれています。古今東西、富とその蕩尽により聖なるものと交流するのが「祭り」の重要な役割ですが、この立佞武多も当時は「富の象徴」として、20メートルを超える立佞武多が制作されていたそうです。 伝統文化ポーラ賞を受賞した五所川原立佞武多委員会は、現在でも受賞時と変わらず、五所川原立佞武多祭りを主導し、地域の振興を支えています。
注1:2020年度は、新型コロナウイルスの影響で、例年通りの祭りが催行されないことがあります。詳しくは公式HPをご確認ください。
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”夕焼けに燃える立佞武多”
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五所川原商工会議所
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