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2017年12月01日

【伝統と改革の狭間で‐津軽三味線奏者‐】

津軽三味線奏者の武田佳泉です。最近、テレビのBGMなどでも和楽器の音をよく耳にするようになってきました。東京オリンピックも近づいてきて、和楽器に注目が集まっています。今回は、私が演奏している津軽三味線についてご紹介したいと思います。

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津軽三味線はもともと、盲目の坊様と呼ばれる人たちの門付け芸から始まり、長い間卑しめられてきた歴史があります。
三味線の中で太棹と呼ばれる種類が使われ、激しく力強い演奏が特徴的です。もともと門付けで持ち運びが多かったため、細棹の軽いものを使った方が便利だったはずなのですが、津軽三味線の祖と言われる仁太坊という人が負けず嫌いで、義太夫三味線の太棹に影響を受け今の形になったと言われています。
また、津軽三味線は津軽民謡の伴奏というのが定番ですが、今残されている津軽民謡は最初の形から大きく変化しています。時代が流れ晴眼者の農民も民謡を唄うようになり、節回しや文句を競い合うようにしてどんどん難しくなっていったそうです。それに合わせて伴奏の三味線も技巧的になり、前弾きと呼ばれる前奏部分が発展して独奏楽器としても活躍するようになりました。
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今でも、演奏会では曲中で拍手をしても良いということになっているのですが、昔はお客さんが奏者を気に入らなければ見向きもせず、気に入る奏者には声援や拍手で盛り上げるといったことが如実に現れていたそうです。奏者としてはプレッシャーですが、舞台がそういった挑戦の場であるからこそ、かつての仁太坊の精神が今でも受け継がれているのかもしれません。
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近年では、あらゆる音楽ジャンルとコラボレーションされており、電子楽器の音量にも対応できるようエレキ三味線も開発されました。ロックバンドやジャズバンド、また民族楽器とユニットを組む奏者も現れ、色々な形で演奏されて世界でも人気の高い楽器になってきています。 私は津軽三味線ユニット 輝&輝として活動をしています。
オリジナル曲の中に民謡を取り入れたり、民謡や日本の楽曲をバンドアレンジ、コンサートの中で津軽じょんがら節の太鼓のリズムをお客様に体験していただいたりしながら、民謡の楽しさを日本全国、老若男女様々な方に伝えることを目標に演奏活動をしています!日本文化の素敵なところを発見してもらえるきっかけになったらと思っています。
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津軽三味線という楽器は、昔から時代に合わせて様々に進化を遂げてきました。伝統文化の一つではありますが、変化を恐れず発展し続けるところがとても魅力的で挑戦しがいがあるところだと感じています。
今は津軽三味線を作っている材料、例えば胴の犬皮や撥の鼈甲不足が問題で、どう未来に音を繋いでいくかということが課題になっています。需要が少ないと、研究に費用がかけられないという話も聞きました。私たち奏者ができることは、音楽を奏でて津軽三味線ファンをたくさん増やすことだと思うので、先人たちから学びながら努力を続けていきたいです。
 

武田佳泉

2008年に白藤ひかりと二人で結成した本格派津軽三味線デュオ「輝&輝」として活躍。それぞれが全国大会で日本一になった経験を持つ。現在、関東地方を中心に全国的に活動を行っている。演奏曲目は古典である民謡から、POP調・ロック調を取り入れたオリジナル曲やカバー曲まで幅広い。津軽三味線ならではの迫力と、女性らしい繊細さを兼ね備えた表現を目指して日々精進している。 全日本津軽三味線競技会名古屋大会デュオの部にて6度の優勝を果たす。

 


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