2014年11月27日
【和をつなぐメッセージ】第11回 九代玉屋庄兵衛さん(尾陽木偶師)
いま、伝統文化の各分野でご活躍の方々は、どのようなことを考え、取り組んでいらっしゃるのでしょうか。
「和をつなぐメッセージ」では、伝統文化の各分野の第一線でご活躍のみなさまが、
そのわざをどのように未来へ「つなぐ」ことを考えていらっしゃるのか、
共通の5つの質問Five Questionsを通して、等身大のご意見を伺っていきます。
和をつなぐメッセージは、季刊でみなさまへお届けします。
第11回は、九代玉屋庄兵衛さん(尾陽木偶師)からの和をつなぐメッセージです。
<プロフィール>
昭和29年 名古屋市生まれ
昭和54年 父である七代目玉屋庄兵衛に入門
平成7年 兄である八代目より九代玉屋庄兵衛を継承
平成15年 国立博物館の依頼で「茶運び人形」制作・寄贈
平成17年 愛知万博愛知県館モニュメント「唐子指南車」制作、同年大英博物館からの依頼で「茶運び人形」制作・寄贈
<受賞歴等>
平成12年 都市文化会議「都市文化奨励賞」
平成13年 犬山市「犬山市文化功労表彰」
平成14年 名古屋市「名古屋市芸術奨励賞」
①最近のお仕事で印象に残っていること。
2009年に安城市の旧家から発見された文字書き人形は、右手と口で筆をくわえ一度に二文字を書く人形であった。一文字書き人形はアメリカから里帰りしたものを見たことがあるが、一度に二文字を書く人形は初めてで驚いた。発見された人形の修理と新しくその復元を依頼されたが、発見時には傷みがひどく、さらに文化財指定がなされたこともあり修理、復元には苦労をした。特に、重要な部品であるカムの破損が激しくさらに、文化財ということで分解もできなかった。しかし、難しいカムを復元し文字が書けた時の感動と喜びは今でも忘れられない。
②この道を歩もうと決心したのは、何歳のとき、どのようなきっかけでしたか。
24歳の時に七代目である父から言われ手伝い始める。その父も7年後に亡くなり、八代目を継いだ兄もその7年後に亡くなる。その時にこの道を進むという決心をした。
③座右の銘は。
父から言われた「修理をしたら50年、100年戻ってこない仕事をしろ。」という言葉を常に心に秘めている。
④伝統文化を未来へつなぐために、いま、どのようなことをなさっていますか。
犬山市からくり制作実演専門委員、愛知県立芸術大学非常勤講師、愛知工業大学客員教授などでからくり人形に関する講習製作指導、デモンストレーションを行っている。また、名古屋市、犬山市の小中学校で定期的にからくりの授業をし、地域の行催事などには出来る限り多くの人に知っていただけるよう講演・実演を行っている。
海外交流基金(日本文化紹介派遣事業)アルジェリア(アルジェ工科大学)での講演風景
⑤和をつなぐメッセージリレー
伝統文化の様々な分野の方が「つなぐ」をキーワードに、リレー形式で質問をつないでいきます。
☆ 第11回は、新里玲子さんから九代玉屋庄兵衛さんへのご質問。
業種によってかなり違いがあると思いますが、伝統文化業界の後継者問題は永遠の課題かと思いますが、いかがでしょうか。制作者に女性もおられるのでしょうか。
☆ 九代玉屋庄兵衛さんからのご回答
現在、二人の弟子をとって伝統の技を教えている。また、息子も稼業を継ぐといっているので、高校卒業後には教えていくこととなる。
創作人形作家には女性はいるが、伝統的な修理・復元を手掛ける女性は、現在はいない。
【作品展のご案内】
「交わる縁 小山硬と玉屋庄兵衛 ~その作品と交流~」
日時:2014年10月18日(土)~2014年12月14日(日)
場所:古川美術館(名古屋市)
※九代玉屋庄兵衛さんは、平成15年度 第23回伝統文化ポーラ賞地域賞受賞者です。