2014年07月30日
【和をつなぐメッセージ】第10回 新里玲子さん(宮古上布染織作家)
いま、伝統文化の各分野でご活躍の方々は、どのようなことを考え、取り組んでいらっしゃるのでしょうか。
「和をつなぐメッセージ」では、伝統文化の各分野の第一線でご活躍のみなさまが、
そのわざをどのように未来へ「つなぐ」ことを考えていらっしゃるのか、
共通の5つの質問Five Questionsを通して、等身大のご意見を伺っていきます。
和をつなぐメッセージは、季刊でみなさまへお届けします。
第10回は、新里玲子さん(宮古上布染織作家) さんからの和をつなぐメッセージです。
<プロフィール>
昭和23年 宮古島生まれ
昭和47年 下地恵康宮古上布工場入門
昭和50年 琉球王府時代の色彩豊かな宮古上布を求めて独立。宮古島苧工房主
現在 国指定重要無形文化財「宮古上布保持団体」代表、日本工芸会正会員
<受賞歴等>
平成7年4月 日本伝統工芸染織展「日本経済新聞社」賞
平成12年2月 沖縄タイムス(県内)芸術選「奨励賞」
平成23年9月 日本伝統工芸展「奨励賞」
①最近のお仕事で印象に残っていること。
最近県外でギャラリートークの機会に恵まれて、工房で制作した宮古上布の着物をまとう方々にお会いできる事はうれしいものです。
宮古上布着物
②この道を歩もうと決心したのは、何歳のとき、どのようなきっかけでしたか。
23歳。
他の仕事をしていたのですが、天職と思える何かをやりたいなぁと熱い想いを抱いておりました。宮古上布の存在を知って、たまたま帰省した時に下地恵康宮古上布工場を訪ねたのがご縁で織りをスタートしました。
機織りの日々の中で小学5年生の授業で「つるの恩返し」の物語に魅かれ織りへの夢を膨らませていたのだと自分の胸の内を知りました。
③座右の銘は。
「夢は描けば叶う!」。
④伝統文化を未来へつなぐために、いま、どのようなことをなさっていますか。
・個(工房)でできる事
子供を含め数名の方々が日々研鑽中
宮古上布の材料苧麻糸づくり教室を週1回工房で開く(糸績みサロン)
(左)糸績み / (右)後進の指導の様子
・組織でできる事
国指定重要無形文化財「宮古上布保持団体」として部門ごとに伝承者養成実施
①図案考案・絣手括り ②染色 ③織り ④砧打ち
※技を体得しても継続して仕事ができないという厳しい現実があります。原材料の手績み苧麻糸確保、手間賃、流通等、解決しがたい諸般の事情があります。
苧麻の刈取り
⑤和をつなぐメッセージリレー
伝統文化の様々な分野の方が「つなぐ」をキーワードに、リレー形式で質問をつないでいきます。
☆ 第10回は、砺波子供歌舞伎曳山振興会さんから新里玲子さんへのご質問。
宮古島へ行ったとき、上布の展示館を訪れました。地域がら「能登」や「越後」の上布 は目にする機会があるのですが、やはり琉球王国の風韻は格別に思えました。地方にい ても、求めやすくなればと思うのですが。
☆ 新里玲子さんからのご回答
苧麻の栽培、糸績み、絣括り、染織り、砧打ちと1反の宮古上布が出来るまで数か月を要し年間数十反ですので、着物ファンの手に届きにくいのが現状です。
紡績糸(宮古上布は手績み苧麻糸のみ使用)等を使ったお求めやすい価格の商品等も制作されております。
【今後の個展開催予定】
・平成26年秋の日本伝統工芸展に出品予定。
・数年後に個展開催を予定しています。
※新里玲子さんは、平成24年度 第32回伝統文化ポーラ賞地域賞受賞者です。