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お知らせ

2014年01月24日

【和をつなぐメッセージ】第8回 鈴木徹さん(陶芸家)

 

いま、伝統文化の各分野でご活躍の方々は、どのようなことを考え、取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

「和をつなぐメッセージ」では、伝統文化の各分野の第一線でご活躍のみなさまが、

そのわざをどのように未来へ「つなぐ」ことを考えていらっしゃるのか、

共通の5つの質問Five Questionsを通して、等身大のご意見を伺っていきます。

和をつなぐメッセージは、季刊でみなさまへお届けします。

 

第8回は、陶芸家の鈴木徹さんからの和をつなぐメッセージです。

 

鈴木徹さん<プロフィール>

鈴木徹 Suzuki Tetsu

1964年 岐阜県多治見市に生まれる
1987年 龍谷大学文学部史学科卒業
1988年 京都府陶工高等技術専門校卒業
1991年 第38回日本伝統工芸展入選 以降20回入選
2003年 第50回日本伝統工芸展 新人賞受賞
2005年 第1回菊池ビエンナーレ 大賞受賞
2008年 第36回新作陶芸展 日本工芸会賞受賞
2009年 第3回菊池ビエンナーレ 奨励賞受賞
2012年  平成23年度岐阜県伝統文化継承功績者顕彰
2012年 伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞
2013年 母校龍谷大学より龍谷奨励賞受賞

 

<パブリックコレクション>

菊地寛実記念智美術館、兵庫県陶芸美術館、岐阜県現代陶芸美術館

 

 ①最近のお仕事で印象に残っていること。

大きな大きな壺が作りたくて、手捻りで積み上げて作りました。いくら大きなものを作っても、窯に入らなかったらどうしようもないですから、窯の入り口のサイズを測って、これに合わせて作っていきました。残念ながら、二つ作ったうちの一つは大きすぎて窯に入りませんでした。大きいだけに焼成にも神経を使いましたが、無事に焼き上がり個展の会場に並べることができました。これを見た皆さんが、驚いて下さった瞬間はやってよかったと思いました。

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②この道を歩もうと決心したのは、何歳のとき、どのようなきっかけでしたか。

男ばかり3人兄弟の長男であった私は、弟たちへの見せしめか小さいころから親父に怒られてばかりいました。あまりに厳しくやられたものですから、大学に進学する際にはとにかく家から出たくて、京都の大学に進みました。歴史が好きでしたので史学科に進みました。その当時は、厳しい親父の下で陶芸をやろうという気持ちは全くなく、博物館か美術館の学芸員になりたいとの思いを抱いておりました。

ある日、大学のゼミの先生から卒業後のことを聞かれ、学芸員になりたい旨を伝えると、陶芸ファンであり、親父のことをよく知っておられた先生は、陶工専門校に行くことを薦められました。さすがに学芸員の募集なんてほとんど無かったので、先生の仰せに従ってそこを見学してみたところ何やら面白そうで、1年間通ってみてそれから考えて見てもいいやと思い通うことにしました。

そこでは、陶芸の工程を初歩から教えてもらうのですが、初めて自分でロクロを挽いて作ったものに釉薬を掛けて、それが窯から出てきたときのカミナリに打たれたような衝撃を今でも忘れることができません。DNAの覚醒というのか、これはやらなければいけないのだと強く思いました。間違いなくその瞬間が、私がこの道を歩もうと決心した瞬間です。23歳の時でした。

 

③座右の銘は。

座右の銘なんて恰好のいいものはありません。敢えてあげるとすれば一所懸命といったところでしょうか。当たり前のことですが、仕事の一つ一つと必死な思いで対峙しています。

 

④伝統文化を未来へつなぐために、いま、どのようなことをなさっていますか。

日本伝統工芸展への出品も27歳のときからですから、早いもので20年以上になり、支部においては、いろいろな役をさせて頂く年齢となって来ました。最近、若い人たちの出品が少なくなってきていることが気になっています。日本伝統工芸展の趣旨には「伝統工芸は、単に古いものを模倣し、技法を墨守することではありません。・・・今日の生活に即した新しいものを築き上げることが、我々に課せられた責務であると信じます」とあります。やはり若い人たちの息吹に触れ、新しい感覚を取り入れて会を活性化していくことが、この展覧会を盛り上げていく上において大事なことだと思います。老若交わり切磋琢磨していくことが、伝統文化を未来につないでいくことになると思っています。

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⑤和をつなぐメッセージリレー

伝統文化の様々な分野の方が「つなぐ」をキーワードに、リレー形式で質問をつないでいきます。

☆ 第8回は、太宰府木うそ保存会さんから鈴木徹さんへのご質問。

つないでいきたい、あるいは伝えていきたい緑釉陶器の魅力とは、どのようなところでしょうか。

 

☆ 鈴木徹さんからのご回答

織部釉を使用しながらも、今までに無かった緑色のやきものを作りたいとの思いから、織部と呼ばずに緑釉と名付けて発表してきました。これからも緑釉でやれる仕事はまだまだたくさんあると思います。皆さんを驚かせるような作品を発表し続けることが、緑釉の魅力を伝えることになると思っています。

 

【個展のご案内】

・2014年3月9日~16日 現代陶芸寛土里(千代田区) 

・2014年10月22日~28日 日本橋三越美術特選画廊

 

 ◆陶藝 鈴木徹ホームページ http://www.k5.dion.ne.jp/~t_suzuki/index.htm

 

※鈴木徹さんは、平成24年度 第32回伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞者です。

 


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