「お知らせ」では、ポーラ伝統文化振興財団の最新情報や顕彰・事業などポーラ賞関係者の展覧会・イベント情報をお伝えします。
既に終了した事業の報告は「伝統文化レポート」で、伝統文化を身近にお届けする読み物は「伝統文化通信」でお届けしますので、ぜひご覧下さいませ。
2025年08月21日
加賀市の能楽は、大聖寺藩第14代藩主 前田利鬯公の頃に活発になりました。幕末と明治のうち、約20年間大聖寺に住まわれており、明治に滞在した9年間で主に町人に能楽を伝授され育てられたそうです。その後、昭和8年に錦城能楽会を立ち上げ、戦争を挟み、昭和32年に再度、錦城能楽会を立上げ、その後100回以上に及ぶ能楽大会などの活動を現在も続けております。
錦城能楽会の主な活動は、正月のお松囃子、5月の春季能楽大会、7月の菅生石部神社奉納演能、9月~12月に加賀市内の小学校を巡回するワークショップ、10月も秋季能楽大会と市民対象ワークショップ、11月3日市民文化祭への出演等、能楽の普及、振興に尽力をされております。
特に、小学校でのワークショップでは、加賀市内17校のうち、1年間に6校ずつ4年生~6年生を対象に全員が、謡、仕舞、笛、小鼓、大鼓、太鼓の6種類を体験しています。まさに、加賀市の能楽文化の発展と後継者育成、次世代への継承につながる大変素晴らしい活動です。
これらで使用する楽器は20年以上使用しているため皮が老朽化しており、使用に耐えられなくなってきています。中でも、老朽化の激しい小鼓、大鼓、太鼓の皮を更新しワークショップや能楽上演を継続して開催できるようにすることを今回の助成の目的とします。
また、演奏という点からも更新が重要です。能楽の囃子は基本的に謡を聴きながらそれに沿って演ずるのですが、お互いの音を聴きながら演奏します。老朽化した皮からの音は響きが悪く聴きにくい。そのため、お囃子全体がまとまらなくなってしまう。まさに、演奏するもの、演ずるもの、観ているもの(観客)にも大いに影響する大切な更新事業となります。
この伝統と歴史のある加賀市錦城能楽会の素晴らしい活動を引き続き応援してまいりたいです。
2025年08月20日
青森県の無形民俗文化財に指定されている鮫神楽。文化5年(1808年)以前から成立したもので、現在では、三十余種目が伝承されています。その内容は、民俗芸能を集大成したものと考えられております。
さめ浜まつり(7月27日)や八戸三社大祭(8月2日)におきましても鮫神楽が披露され、大いに八戸の夏を盛り上げておられました。またお盆の伝統行事でもあります「墓獅子」も浮木寺墓地にて舞われ地域の風物詩として認知されております。
今回この貴重な鮫神楽を無くしてはならないという、鮫神楽保存会のみなさまはもとより、鮫町を中心とした地域のみなさまの想いをつないでゆくためにも、当財団としましても助成事業としまして応援してまいります。特に、組舞に使用する加藤清正着用の鎧や衣装、被り物、或いは太鼓の修繕を行い、連綿と続いてきた舞や囃子を後世に伝えていく継承・振興への支援の一助になればと考えます。
先日、現地でみなさまの練習を拝見する機会がございました。上記のお祭り等での披露に向け、小中高生から大ベテランのみなさまが、本当に生懸命に練習されている姿にとても感動いたしました。お伺いしますと毎週3回、19時から21時まで鮫生活館に集い練習を重ねているとのことです。
舞い手の方も、笛・太鼓等のお囃子を担当する方も息がぴったり。見ていてかなりの時間を舞う体力もすごいです。こうした並々ならぬ努力と汗が素晴らしい鮫神楽の命をつないでいるのだと心から感じ入りました。
これからも応援してまいります!がんばってください!!
2025年08月20日
日本工芸の技と美が集結する公募展が開催されます。入場は無料でどなた様もご覧いただけます。是非とも会場にお立ち寄りください。詳しくは、公益社団法人日本工芸会のホームページをご参照ください →https://www.nihonkogeikai.or.jp/<top>
●日時:2025年9月3日(水)~9月15日(月・祝) 午前10時~午後7時(最終日は午後5時まで)
●会場:日本橋三越本店 本館7階
2025年08月18日
「絵絹」は、平織りの絹織物であり、中でも精練加工を施さない生織物に分類されます。主に、日本画の基底材に用いられ、国内において岐阜県各務原市の生産量がほぼ100%を占めています。しかし、使用方法が限られていることと、生活の洋風化に伴い掛け軸等の需要が落ち込んだため、現在は、製織業者も僅かとなっている状況です。
そうした中、令和2年度より「アートで動かす・アートでつながる」ことをコンセプトに、「ART×産業」というテーマで「絵絹」に焦点を当て、製造している地域と関わる人々と共に、「絵絹」の周知と新たな価値を創出するための社会的なシステムの構築を産官民で連携し進めています。
今回、「絵絹」の歴史や製織技術の調査・研究を行い、未来に継承する文化資源としての価値を明確化するために、絵絹製織技法等についての報告書・ならびにアーカイブを作成。同時に、新たな表現や目的のための織り方研究などマテリアルの可能性を提案していきたいとの事業主旨となります。
そうした調査・研究を通して、地域内外に向けた「絵絹」の周知・発信や貴重な文化資源として未来へつなげるための伝承・普及の在り方にも注力しておられます。例えば、各務原市が「絵絹」の一大生産地であることを広く知らしめるため、「マテリアル×アート」として絵絹作品を紹介する「@えぎぬ展」を開催したり、各務原市のシティプロモーションサイトにて、作家と生産者をインタビュー形式でまとめた発信もしております。(https://ourfavorite-kakamigahara.jp/feature/8929/)また、地域のみなさまに身近に感じていただけますように各務原市役所内に展示スペースを設け、わかりやすく絵絹に描くプロセスをご紹介しております。
以上から、今回「絵絹」の価値を明確化し、失われゆく伝統技術の保存と文化資源の継承、未来に向けた新しい可能性を見出すこの事業を当財団としましても応援してまいりたいと考えます。
「@えぎぬ展」チラシ
各務原市役所内にある展示スペース
2025年08月07日
※写真は「佐伯灯籠保存会パンフレットより使わせていただきました」
8月14日(木)お盆の日に京都府亀岡市の稗田野町と吉川町にまたがる旧佐伯郷で、稗田野神社、御霊神社、河阿神社、若宮神社の四社が五穀の苗を依り代とした神輿や神灯籠、切子灯籠などが繰り出して祭事を営む、佐伯灯籠の夏祭りがおこなわれます。この佐伯灯籠は、盂蘭盆の風流灯籠が祭礼にむすびついたもので、民俗芸能史に価値あるものとして平成21年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されました。
そうした中で、今年度の助成事業の採択先としまして決定されました「佐伯灯籠保存会」のみなさまの、古式ゆかしい串人形を操る佐伯灯籠人形浄瑠璃が上演されます。一人遣いの串人形を継承する国内唯一の地がここ旧佐伯郷です。「人形浄瑠璃は浄瑠璃を語る太夫と三味線弾き、数人の人形遣いが三業一体となって繰り広げる日本固有の人形劇。佐伯灯籠で使う一人遣いの人形は文楽完成以前の形態を残すと言われ、他に類例がない点からも体長35㎝ほどの串人形はたいへん貴重なものである。」(佐伯灯籠保存会パンフレットより)
また、佐伯灯籠保存会の活動は、後継者養成にも注力されています。佐伯灯籠人形浄瑠璃こども教室の開催や人形使い、浄瑠璃語り、三味線弾きの練習を毎月定期的に行っております。人形浄瑠璃体験会も都度開催しております。
こうした素晴らしい民俗芸能の保存・継承・振興を応援してまいりたいと切に思います。
https://www.pref.kyoto.jp/n-ki-kikaku/kyotono-mannaka-saekidourou.html(京都府「佐伯灯籠」ご紹介)