2015年08月27日
【和をつなぐメッセージ】第14回 石田知史さん(鋳込みガラス作家)
いま、伝統文化の各分野でご活躍の方々は、どのようなことを考え、取り組んでいらっしゃるのでしょうか。
「和をつなぐメッセージ」では、伝統文化の各分野の第一線でご活躍のみなさまが、
そのわざをどのように未来へ「つなぐ」ことを考えていらっしゃるのか、
共通の5つの質問Five Questionsを通して、等身大のご意見を伺っていきます。
和をつなぐメッセージは、季刊でみなさまへお届けします。
第14回は、ガラス作家(鋳込みガラス:別名パート・ド・ヴェール) 石田知史さんからの和をつなぐメッセージです。
<石田知史 Ishida Satoshi プロフィール>
1992年 東京ガラス工芸研究所パート・ド・ヴェール専科卒業
1995年 アジア・中近東・中南米諸国を美術研究のため旅する
2003年 日本伝統工芸展 朝日新聞社賞受賞
2006年 日本伝統工芸展 日本工芸会総裁賞受賞
第24回京都府文化賞奨励賞受賞
2013年 第33回伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞
日本伝統工芸展60回記念「工芸からKOGEIへ」選定出品
(東京国立近代美術館工芸館)
2015年 「菊池寛実賞 工芸の現在」選定作家として出品
(菊池寛実記念智美術館)
現在 日本工芸会正会員
①最近のお仕事で印象に残っていること。
ポーラファルマ様のRISING STAR AWARD賞の副賞用の作品を制作させて頂いた事です。
受賞された先生の研究室に長く飾って頂く事を考え、ステンレス製の額装を発注し、
和の雰囲気を持ちつつも、現代的でインパクトのある額装を制作しました。
普段の自己完結する仕事とは違い、他分野の方との共同作業の難しさと面白さを感じました。
新たに創設された顕彰の意図を大切に、ますます世界に活躍する受賞者の輝かしい未来の象徴を
イメージした事がご理解いただけたことが、とても嬉しかったです。
POLA PHARMA RISING STAR AWARD 副賞
②この道を歩もうと決心したのは、何歳のとき、どのようなきっかけでしたか?
26歳のときに二年間の海外の一人旅(美術・文化研修をかねて)から帰って来たときです。
外の世界から、日本の工芸の文化の重要性とオリジナリティを再認識することが出来た事と、
自分の中で日本という国の相対化が出来、自分の国を第三者的に見る事が出来るようになった事が
きっかけでした。
③座右の銘は。
「ライバルは過去の自分である」
常に過去の自分を乗り越える努力をしないといけない。
と考えています。
④伝統文化を未来につなぐために、いま、どのようなことをなさっていますか?
主に個展、及び日本伝統工芸展への出品、美術館の企画展に出品などをしています。
工芸の魅力(可能性)をみなさまに伝える機会が持てると嬉しいなと思っています。
可能な範囲でですが、ギャラリートークやレクチャーなども行っています。
工芸からKOGEIへ(東京国立近代美術館工芸館)ギャラリートーク
⑤和をつなぐメッセージリレー
伝統文化の様々な分野の方が「つなぐ」をキーワードに、リレー形式で質問をつないでいきます。
☆ 第14回は、名倉鳳山さんから石田知史さんへのご質問
石田さんは、ご両親がガラス工芸作家で、最近では奥様も工芸展に出品されるようになり、
一家4人でパート・ド・ヴェールの技法を進化させておられます。
そこでお伺いしたいのは、古より伝わるこの技法を、一人の作家として、また石田家として
どのような方向に向けていかれるのでしょうか?
新作を楽しみにしています。
☆ 石田知史さんからのご回答
ありがとうございます。
パート・ド・ヴェール(鋳込み硝子)は随分昔に日本では勾玉などに見られる古代ガラス技法ですが
その後継承される事無く、現在ではアート作品に使われることの多い、手間のかかる稀少な技法です。
西陣の帯や着物の図案家をしていました両親は、日本の工芸の美意識をこの技法を使って
表現できないかと苦心して参りました。
最近になってやっと新たな日本の工芸として認められてきました。
両親の苦労と私たちが蓄積して参りました経験を生かして、今後も工芸の美を追求し続け、
現代に生きる作品を制作していきたいと考えております。
鉢「交錯する青」(径59×高12.5cm)
【企画展のご案内】
・石田知史・亘・征希パート・ド・ヴェール作品展
—手のひらの煌めき―
会期:2015年9月18日(金)~27日(日)
時間:10:30~19:00 最終日は17:00まで
会場:和光ホール
東京都中央区銀座4丁目5−11和光本館6階