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2014年07月30日


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    7/26(土)開催 第2回「人・杜・祭ー文化風土の記録」 レポート
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國學院大學との共催イベント、「人・杜・祭ー文化風土の記録」の
第2回を7/26(土)に開催しました。

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第2回となる今回の特集は「山と海」をテーマに
民俗芸能の講演と映画上映を行いました。

司会・進行は茂木 栄先生(國學院大學教授・社叢学会理事)です。

今回は懸田 弘訓先生(民俗芸能学会福島調査団長)を
お招きして、ご講演頂きました。

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懸田さんは、福島県の郷土のお祭りを永年調査し、
東日本大震災の際も民俗文化財の復興に献身的に奉仕されてきた方です。

ポーラ伝統文化振興財団との関係も深く、
昨年の第33回伝統文化ポーラ賞地域賞受賞されています。

また、6月にはNHK放送ETV特集で
震災後、福島県の民俗芸能の消滅の危機、
地域のつながりを取り戻そうと奮闘する人々の姿を追った番組、
「あの舞をもういちど~原発事故と民俗芸能」にご出演されました。

今回上映した作品は3本です。

福島県にある、どちらも同じお祭りです。
 ①鹿島町江垂日吉神社のお浜下り(H4、國學院大學制作)
 ②鹿島日吉神社のお浜下り(S43年、文化財保護委員会制作)
 
そして、滋賀県の長浜市で開催されるお祭りです。
 ③琵琶湖・長浜-曳山まつり(S60、ポーラ伝統文化振興財団制作)


冒頭に、
國學院大學副学長、ポーラ伝統文化振興財団理事長の
ご挨拶をさせていただきました。

◆記録映画上映①

まずはじめに、
鹿島町江垂日吉神社のお浜下り(H4、國學院大學制作)、を上映しました。

◆講演

続きまして、懸田先生のご講演です。
講演テーマは
「山と海をつなぐ祭り~鹿島日吉神社のお浜下りを中心に」です。

12年に一度申年の4月に行われる、お浜下り(おはまくだり)。
内陸部にある、日吉神社から神輿(みこし)をかついで
浜に下りていき、舞台を作り、塩水を供え、芸能を奉納します。

「浜下り」とは・鹿島日吉神社の「浜下り」について
お話頂き、続いて映像を併せて解説頂きました。

◆記録映画上映②

文化庁よりご提供された、
鹿島日吉神社のお浜下り(S43年、文化財保護委員会制作)を上映しました。

こちらは、このお祭りでは最古の記録映像です。
昭和43年の映像は無声、白黒(一部カラー)でしたが、
貴重な映像を鑑賞させていただきました。


◆記録映画上映③

最後に、
琵琶湖・長浜-曳山まつり(S60、ポーラ伝統文化振興財団制作)を上映しました。

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◆◇◆◇
12年に一度行われる、福島県の鹿島町江垂日吉神社のお浜下り。

懸田先生は4度足をお運びになっているそうです。
今回映像公開しました文化庁の最古の記録映画の時も
ご覧になられていたそうです。

2016年、12年に1度の「お浜下り」が行われる予定でした。
しかし、この相馬市の鹿島町は大震災の津波と原発の影響で
壊滅的な状況にあります。

最後の懸田先生からのお言葉が印象的でした。

・・・・・・
被災地の人々は口々に言います。
 「人も家も無くなって、祭りも無くなったらどうすればいいんだ」と。
人間1人では生きてはいけない。
お話したりお茶を飲んだり、人との絆を深めるのが芸能、祭りなんだ。
・・・・・・
 
7月26日、大変な酷暑でした。
運営側一同、この暑さの中お越しいただいた懸田先生、ご覧頂く皆さまの
体調がとても心配でしたが、当日はたくさんのお客さま、学生さんに
お越し頂きましてありがとうございました。

◎次回
 第3回 特集「鎮魂の神楽」
 日時 11月8日(土)14:00開演(会場13:30)
 会場 國學院大學渋谷キャンパス2号館1階 2104教室(予定)
 映画 
   【愛知県】舞うが如く 翔ぶが如く-奥三河の花祭り ほか

アクセス 國學院大學HP

【三jome】


2014年07月30日


【和をつなぐメッセージ】第10回 新里玲子さん(宮古上布染織作家)

いま、伝統文化の各分野でご活躍の方々は、どのようなことを考え、取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

「和をつなぐメッセージ」では、伝統文化の各分野の第一線でご活躍のみなさまが、

そのわざをどのように未来へ「つなぐ」ことを考えていらっしゃるのか、

共通の5つの質問Five Questionsを通して、等身大のご意見を伺っていきます。

和をつなぐメッセージは、季刊でみなさまへお届けします。

第10回は、新里玲子さん(宮古上布染織作家) さんからの和をつなぐメッセージです。


新里玲子先生<プロフィール>
昭和23年 宮古島生まれ
昭和47年 下地恵康宮古上布工場入門
昭和50年 琉球王府時代の色彩豊かな宮古上布を求めて独立。宮古島苧工房主
現在  国指定重要無形文化財「宮古上布保持団体」代表、日本工芸会正会員

<受賞歴等>
平成7年4月 日本伝統工芸染織展「日本経済新聞社」賞
平成12年2月 沖縄タイムス(県内)芸術選「奨励賞」
平成23年9月 日本伝統工芸展「奨励賞」


①最近のお仕事で印象に残っていること。

最近県外でギャラリートークの機会に恵まれて、工房で制作した宮古上布の着物をまとう方々にお会いできる事はうれしいものです。

宮古上布着物 

宮古上布着物

②この道を歩もうと決心したのは、何歳のとき、どのようなきっかけでしたか。

23歳。
他の仕事をしていたのですが、天職と思える何かをやりたいなぁと熱い想いを抱いておりました。宮古上布の存在を知って、たまたま帰省した時に下地恵康宮古上布工場を訪ねたのがご縁で織りをスタートしました。
機織りの日々の中で小学5年生の授業で「つるの恩返し」の物語に魅かれ織りへの夢を膨らませていたのだと自分の胸の内を知りました。


③座右の銘は。

「夢は描けば叶う!」。


④伝統文化を未来へつなぐために、いま、どのようなことをなさっていますか。
・個(工房)でできる事
 子供を含め数名の方々が日々研鑽中
 宮古上布の材料苧麻糸づくり教室を週1回工房で開く(糸績みサロン)

後進の指導の様子 糸績み

(左)糸績み / (右)後進の指導の様子

 

・組織でできる事
 国指定重要無形文化財「宮古上布保持団体」として部門ごとに伝承者養成実施
 ①図案考案・絣手括り ②染色 ③織り ④砧打ち
※技を体得しても継続して仕事ができないという厳しい現実があります。原材料の手績み苧麻糸確保、手間賃、流通等、解決しがたい諸般の事情があります。

苧麻の刈取り

苧麻の刈取り


⑤和をつなぐメッセージリレー
伝統文化の様々な分野の方が「つなぐ」をキーワードに、リレー形式で質問をつないでいきます。

☆ 第10回は、砺波子供歌舞伎曳山振興会さんから新里玲子さんへのご質問。
宮古島へ行ったとき、上布の展示館を訪れました。地域がら「能登」や「越後」の上布 は目にする機会があるのですが、やはり琉球王国の風韻は格別に思えました。地方にい ても、求めやすくなればと思うのですが。

☆ 新里玲子さんからのご回答
苧麻の栽培、糸績み、絣括り、染織り、砧打ちと1反の宮古上布が出来るまで数か月を要し年間数十反ですので、着物ファンの手に届きにくいのが現状です。
紡績糸(宮古上布は手績み苧麻糸のみ使用)等を使ったお求めやすい価格の商品等も制作されております。


【今後の個展開催予定】
・平成26年秋の日本伝統工芸展に出品予定。
・数年後に個展開催を予定しています。

 

※新里玲子さんは、平成24年度 第32回伝統文化ポーラ賞地域賞受賞者です。


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